疲労骨折の早期発見。

 

先日、順天堂大学の先生による疲労骨折の講義をお聞きしました。疲労骨折はアスリート、特に陸上長距離選手に多い障害です。

 

疲労骨折が多いのが高校1〜3年の女子だそうです。オーバードライブのお客様にも長距離ランナーの高校生がいるので、すごく気になっていました。高齢者にも多い疲労骨折ですが今回はアスリートの疲労骨折にフォーカスしご紹介します。(レポート Tsuda)(^_^)

 

まずは概念から、、、

疲労骨折による怪我は障害と呼ばれます。障害傷害の違いについては次の通り。

 

障害→長い間同じ箇所に繰り返しストレスがかかった

   結果起きる怪我。

   (例:高橋尚子さん)

 

傷害→何かの拍子で起こった怪我。

   (例:松井秀喜さん)

 

 

『長距離ランナー土佐礼子さん、野口みずきさんも何度となく疲労骨折に悩まされた選手です。疲労骨折が選手のコンディショニング、そして選手生命に大きく関わってくるんですね。』

 

 

 

 

【疲労骨折の多い箇所を知ろう】

 

疲労骨折の発生箇所はこちら ↓

 

疲労骨折の箇所
資料「日本整形外科学会」より

 

 

第1位:足の中足骨35%

 

第2位:脛骨27%

 

 

 

☆陸上長距離選手脛骨に多い

  ランニング系に多い!筋膜障害のシンスプリットと間違えやすい!

 *高橋尚子さんは肋骨の疲労骨折も経験

 

 

☆サッカー選手中足骨中指小指に多い 

 ジャンプ系に多い!

 *元日本代表サッカー選手小野伸二さんは小指

 

 

 

疲労骨折「脛骨」
足の疲労骨折
資料「足の疲労骨折」より

 

 

【早期発見のために知っておきたいこと

 

疲労骨折した時にその診断に至るまでにたどるプロセスで案外多いパターンがこちら ↓

 

慢性的な痛み→診察したが異常なし(受傷後2週間以内)→経過観察→強い痛みに(受傷後すでに2週間以上経っていることが多い)→再受診→疲労骨折の診断

 

っというパターン。

 

以下の症状があったら疲労骨折も疑ってトレーナーや監督、先生など指導者にすぐ相談し専門医を受診をしよう。

 

兆候:特定の箇所で慢性的な痛みがある。

 

1、押して痛みがある(圧痛)痛点の箇所が一点に集中している

2、赤みがある

3、腫れがある

4、湿布をしても痛みが引かない

5、疲労骨折が起きやすい箇所である

 


参考資料「古東整形外科」 
参考資料「古東整形外科」 

「古東整形外科」HPより以下抜粋

経過を表したものが上の写真(レントゲン)。

初診時には赤丸の部分に骨の変化は見当たらない。2週間後、2カ月後と時間が経つに従って、赤丸の部分に骨の変化が生じ、最終的には仮骨といって骨折した後に骨が癒合する過程が見受けられる。疲労骨折をおこしている場合には、最初レントゲン上は何も起こっていないように見えるが、時間を経るに従って、仮骨が形成されてくるので、実は骨折していたとわかる。

 


 

 

【疲労骨折の検査、そしてその精度】

 

疲労骨折で痛みが強くなっている頃は受傷後2週間以上経っていることが多い。

 

受傷後2週間以内での検査の精度は以下のとおり。レントゲンでの早期発見は結構難しいことがわかります。

 

⚫️ レントゲン → 50%以内

 

⚫️ MRI  → ほぼ分かる

  (ただし血流が少ない部分は50%以下)

   費用:3割負担の方

    約8000円〜10000円

 

⚫️ 骨シンチグラフィー →100%

   費用:3割負担の方

   約16000~18000円

   *所要時間約3時間

 

 


骨シンチグラフィー

放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を使い骨折や骨の炎症、骨腫瘍などを調べる。通常のX線撮影よりも骨の異常を早期に発見することができ、がんの治療では骨転移の有無を調べるために大いに役立っている。ただし放射性同位元素を含んだ薬剤を使用するため、検査を受けた当日はなるべく人と触れ合うことを避ける必要がある。特に小さな子どもや妊婦さんとの接触は控えたほうが安全。

(資料:「がんのき・ほ・ん」より http://www.gan-info.com/


 

 

【最後に:疲労骨折の予防を考えてみました】

 

疲労骨折を引き起こす一番の原因はオーバーユーズ(使いすぎ)ということ。でも部活など集団で練習する学生の場合は練習量を調整するのが難しい。それは強豪校になればなるほどそうだと思います。

まずは指導者が疲労骨折はオーバーワークによって引き起こされ、長距離ランナーの若年層では起こり得る障害であることを知っておく必要があります。その上で練習メニューのを組み立ててほしいと思います。

 

そして選手においては技術不足基礎体力不足が原因につながることも知っておきましょう。

さらにフォームの改善アライメント(関節位置、関節可動域、柔軟性など)を整えるトレーニングも疲労骨折の予防につながると思います。

 

その点においてピラティスはとても有効なトレーニング方法の一つだと思うのです。

 

 

【おまけ】

私の子どもも小学生の頃、恥骨の疲労骨折を経験しました。その時股関節の痛みが治らず病院でレントゲンをとってもらったのですが異常なしと診断され、湿布だけで練習を続けていました。しかし痛みは改善されず後日再受診しMRI検査で疲労骨折と判明したのでした。もっと早くわかっていれば回復も早かったのに…。と、本ブログを書きながら思うのでした。(≧∇≦)